光市母子殺害の元少年、死刑確定 最高裁、上告棄却

朝日新聞デジタル:光市母子殺害の元少年、死刑確定へ 最高裁、上告棄却 - 社会朝日新聞デジタル:光市母子殺害の元少年、死刑確定へ 最高裁、上告棄却 - 社会

 山口県光市で1999年に起きた母子殺害事件の差し戻し後の上告審判決が20日あり、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は、殺人と強姦(ごうかん)致死などの罪に問われた大月(旧姓・福田)孝行被告(30)の上告を棄却した。死刑とした差し戻し後の二審・広島高裁判決が確定する。

 大月被告は犯行時、18歳だった。少年法は18歳未満の少年に対する死刑の適用を禁止しており、裁判では、適用が認められる満18歳になった約1カ月後に事件を起こした大月被告に死刑を選択することの是非が焦点となっていた。

 差し戻し後の二審判決によると、大月被告は99年4月14日、同市の会社員本村洋さん(35)方に配水管検査を装って侵入。本村さんの妻弥生さん(当時23)の首を絞めて殺害し、乱暴した。さらに、長女夕夏ちゃん(同11カ月)も絞殺した。

     ◇

 【おことわり】朝日新聞はこれまで、犯行時少年だった大月被告について、少年法の趣旨を尊重し、社会復帰の可能性などに配慮して匿名で報道してきました。最高裁判決で死刑が確定する見通しとなったことを受け、実名での報道に切り替えます。国家によって生命を奪われる刑の対象者は明らかにされているべきだとの判断からです。本社は2004年、事件当時は少年でも、死刑が確定する場合、原則として実名で報道する方針を決めています。

2012/2/19
光母子殺害:元少年揺れる胸中…差し戻し上告審判決前に - 毎日jp(毎日新聞)光母子殺害:元少年揺れる胸中…差し戻し上告審判決前に - 毎日jp(毎日新聞)
 山口県光市の母子殺害事件で殺人や強姦(ごうかん)致死罪などに問われた当時18歳の元少年(30)が、20日の差し戻し上告審判決を前に広島拘置所広島市)で毎日新聞記者の面会に応じた。「事件の真相を認めてもらった上で、(判決が)厳しいものであれば受け入れたい」とした一方、「厳しい刑罰こそ望むが、死はそこで途絶えてしまう」とも語り、生と死の間で揺れる複雑な胸の内を明かした。

 6日、狭い接見室を隔てるアクリル板の向こう側に、黒のタートルネックに灰色の上着姿で元少年が現れた。「なるべく努めて、落ち着いて臨もうと思っています」。00年の1審から数えて5度目となる判決を待つ。差し戻し審で殺意を否認した元少年は「検察の主張は事実と異なっている。(最高裁には)証拠をきちんと見て判決を下してほしい」と訴えた。

 記者が元少年の姿を見るのは、差し戻し控訴審の死刑判決(08年4月)以来4年ぶり。肩幅は広くなり、がっしりした体格。髪は短く刈り、ひげを生やしていた。事件時は細身だったが、今は頬骨も張り、たくましさも感じさせる。

 「端的に言えば、悲しかった」。4年前、死刑を言い渡された瞬間をそう振り返る。「僕1人の命では、亡くなった2人の命を償えない。未来を取り戻すことはできない」と思うからだ。臓器移植のドナー登録に触れて「1人の命でも、複数の人の命をつなぐことができる」とも話し、「命をなくす死刑には反対」と続けた。

 差し戻し審の法廷では、遺族の本村洋さん(35)と向かい合える自分を目指したい、と述べた。思いは変わらないといい、「等身大の僕を分かってほしい。それでも(本村さんが)極刑を望むなら、裁判所に言われるより受け入れられる」と話す。だが「どういうことが償いになるのか教えてほしい」「模索することも反省の一つ」とも言う。法廷で述べた「(被害者のために何をしたいか)見つかっていない」状態から抜け出せない迷いも伝わる。

 本村さんに謝罪の手紙を送った時期もあったが、「手紙には、受け取り手がいますから」といい、送るのを控えている。本村さんはかつて記者会見で「手紙は開封していない」と明かした。今は母子の月命日、支援者の手を借り、事件現場に花を供えている。

 約15分間、表情は落ち着き、時折笑顔も見せながら早口が続いた。拘置所の単独室では本を多く読み、筋力づくりにも励んでいるという。東日本大震災拘置所のラジオ放送で知った。支援者と相談し、福島の子どもたちに放射線測定器を贈るための募金に協力した。関係者によると、家族の面会は、長い間途絶えている。

2009/11/09
光市事件の実名本差し止めを却下 広島地裁 - 47NEWS(よんななニュース)光市事件の実名本差し止めを却下 広島地裁 - 47NEWS(よんななニュース)

 山口県光市母子殺害事件元少年(28)=死刑判決を受け上告中=を実名で記した単行本について、元少年側が出版差し止めを求めた仮処分申請で広島地裁は9日、申し立てを却下した。

 元少年弁護団が明らかにした。「却下の理由は答えられない。10日に本人と会い、今後の対応を決める」としている。

 本は、大学職員増田美智子さん(28)が元少年への接見取材などをもとにまとめた「A(実名)君を殺して何になる」で、10月7日に発売。初版4千部を完売し、2万部を増刷している。

 元少年側は「本は死刑確定を前提とした内容。原稿を事前に確認させる条件を守らず、同意がないまま少年法に違反し実名で出版を強行した」などとして、10月5日に仮処分を申請。双方が意見を述べる審尋が2回開かれていた。

 同15日には元少年側が出版差し止めと約1100万円の損害賠償を求め広島地裁に提訴。11月26日に第1回口頭弁論が開かれる。

2008/01/16
現代法学 第16号 2008年12月17日発行
光氏事件裁判について(954KB) 安田 好弘光氏事件裁判について(954KB)	安田 好弘
www.tku.ac.jp/kiyou/contents/law/16/16_yasuda.pdfwww.tku.ac.jp/kiyou/contents/law/16/16_yasuda.pdf